ギターらしい音って?のつづきです。とりあえず、5弦開放(A)の音を周波数分解して、
それぞれの周波数の振幅の減衰を示してみます。
#周波数ごとの減衰の可視化プログラムを公開してます→
ギターの音の客観的評価
ZoomのG2Nuでエフェクトを全てOFFにしてPCにつなぎ、SoundEngineで録音しました。
左から、ELAN、LST-X、SLP-180です。
図:ELAN(HH)、LST-X(SSS)、SLP-180(リアS)の5弦開放の音の周波数ごとの減衰の様子。
(注:縦軸のスケールが違います。左から、最大値(上端)が140万、70万、6万となってます。)
(それぞれのグラフをクリックすると、大きくなります。)
線の種類(色)は、太い黒が基音(110Hz, A)、赤が220HZ(A)、緑が330Hz(E)、青が440Hz(A)です。
細い黒は550Hz(Db)、660Hz(E)、770Hz(Gb-G?)、880Hz(A)、990Hz(B)を一緒くたに示しています。
ELANは上から、フロントH、フロントH+リアH、リアHと切り替えています。
LST-Xは、上から、フロント、ミドル、リアのシングルコイルです。
SLP-180には、リアのシングルコイルしかありません。ピッキングの強さを変えて3回分です。
(一番上のは、
ギターらしい音って?に示したのと同じサンプルです)
ELAN、LST-X、SLP-180のそれぞれのグラフで縦軸の物理的意味は不明ですが、
ともかく、おんなじ様にピッキングしたつもりなので、音の大きさの違いと考えてもいいでしょう。
ピックアップの出力は、明らかに ELAN > LST-X >> SLP-180ですね。
ELAN以外は、音が出た瞬間から、急激に減衰するのに対して、
ELANでは、零点何秒かの間、ほとんど減衰がありません。
この現象は、とても不思議です。価格の10倍違いは、こういうところに出るのでしょうか?
それとも、ハムバッキングのピックアップの出力は、こういう感じになるのでしょうか?
ELANは、基音(黒い太線)の伸び(残りぐあい)が非常によいです。
これがいわゆるコシのある音という奴なのかもしれません。
この基音110HZと、2倍音220Hzは、ピックアップによらず、
だいたい同じような時間変化を描きます。
フロントピックアップに見られる、この低音2成分を主体とする音が
いわゆる太く甘い音という音なのかもしれません。
一方、リアでは、最初期は、330Hz(緑)と、440Hz(青)の音が220Hzを上回ります。
そして、その高音成分は、減衰が早く、音が長くは残りません。
この出だしだけの高音成分が、シャキっとエッジの立った音を作るのかもしれません。
LST-Xは、出だしの音がピックアップ毎に違うものの、どの周波数も同じように減衰する。
リアの方で、110Hzが5~6秒ぐらいで復活してくるのは、ちょっと不思議ですが、
この復活によって、110Hzが、若干はコシを生んでる可能性はあるかなぁ・・・
ともかく、ELANに比べれば、周波数ごとの減衰特性の違いは顕著でない。
フロントとミドルでは、220Hzと330Hzの成分が大きく、リアでは、220Hzと110Hzが大きい。
フロントピックアップのキラキラした音ってのは、この高音成分によるのだろうか?
この高音成分と低音成分のバランスが、ELAN(ハム)とは逆になるのは興味深い。
こうして見比べると、SLP-180ってダメダメなギターだということが思い知らされます。
出力は小さいし、330Hzは妙な残り方をするし、基音の残りは悪いし。
5倍以上の倍音成分が、(基音が小さいから、相対的に)結構大きい・・・・
でも、相対的な意味では、3つの中では一番、倍音が豊かなといえないこともない。
形がレスポール(っぽい)だから?・・・・ほんとかなぁ?
よく、「レスポールは倍音が豊か」っていうでしょ?
あれって、どういうこと? しかも、倍音豊かで、太く甘い音って?
倍音って、高音の成分だよね? 太く甘い音って、低音が作るとすれば、相反しないのかな?
この両者を同時に満たしてるから、偉いのかしら?
どっかに、本物のレスポールのクリーン音のファイルで落ちてないかしら・・・
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