天然ゴムのプランテーションをみて帰ってきてから(参照→
拡大造林とプランテーション)、
「ラバーウッド」なる材を使った製品が日本国内でも、結構売られていることに気がついた。
いわゆる天然ゴムの木、パラゴムノキの集成材のようだ。
学習机の天板などで使われてることが多いようだが、建材(内装、床材)としても使われてるみたい。
ラバーウッドという材、ともかく安いみたいです。
でも、ラバーウッド集成材の評判(風評)って、めちゃめちゃ悪いです。
悪い評判は、
・柔らかくて、耐久性がない。
・カビが生えやすく、耐候性がない。
・天然ゴムを搾りつくした後のスカスカの材である。
というような感じ。
子供用の机ってのは、らくがきはもちろんのこと、カッターで引っかいてみたりと、
ともかく消耗品だから、機能性とデザイン重視で価格を抑えて作るのがいいのだろう。
ということで、それなりには売れてるのでしょう。
だけど、ちょっと調べたところだと、評判ほど、その品質は悪くない気がします。
パラゴムノキは、トウダイグサ科の広葉樹で、多くの国産広葉樹と同じく散孔材です。
散孔材は、基本的には、細めの導管がランダムに配置され、木目がはっきりしません。
例えば、高価な家具に使用されるチークとかオーク(ナラ材)とかケヤキは環孔材です。
環孔材は、木目が綺麗だし、硬いので、耐久性もよいということになります。
一方、散孔材というのは・・・そもそも集成材なので、木目はともかくとして、
一般的に、軽くて柔らかいので、耐久性がない・・・ということになってるようです。
散孔材の代表格のブナは、昔は薪にする以外に役に立たなかった
だから、木へんに無いと書く、というのは有名な話ですが、実は、曲げ物なんかに
使われているように、粘りがあって割れにくいという性質をもってます。
たぶん、ラバーウッドもこれに近いんじゃないかな・・・と思います。
木材乾燥技術と集成材製造技術の発達で、
最近は、ブナ集成材というもの出回るようになってるらしい。
で、ブナ集成材ってのも、「耐朽性が小」(つまり、腐りやすいということ)となってる。
ちなみに、ラバーウッド集成材もブナ集成材も比重がだいたい0.6強ぐらいです。
環孔材でいうとナラ材と同じぐらい、散孔材だとマホガニーと同じぐらいです。
#ギターでおなじみのメープル(0.7ぐらい)よりもちょっと軽く、
#バスウッド(0.3ぐらい)よりだいぶ重い。
比重のデータは、それなりに転がってるけど、強度のデータってのはあんまりないので、
強度がどうなのかは、判然としないけど、比重から類推する限りでは、
高級材には劣るが、そこそこの強度は期待されるのではないかと思います。
(普通は、重い材は堅い・・・はずです)
その安さから言えば、壊れたら買い替え、ということでも、いいかもしれません。
パラゴムノキが青変菌という菌に弱い、というのは、事実のようです。
これに対する処理(防菌処理とか防水塗装とか)をしないと、雨ざらしだとヤバそうです。
(このため、これに対する処理についての研究はいくつかなされているようです)
普通は、集成材を作るときには、それなりに乾燥して作るはずですし、
青変菌というのに弱いというのは周知の事実なので、何も処理していないということは考えにくい。
建材として、水周りなんかに使うのは、やっぱり止めた方がいいのかもしれないけど、
ちゃんと塗装してあって、水周り以外、たとえば学習机なら、そんなに問題ないと思われます。
ゴムを搾りきった後の廃材というのは、確かにそのとおりですが、
「スカスカの材」という表現は、「ゴムを搾り取る」ということの実態を
誤解してるんじゃないかと思います。ゴム採取の実態は・・・
木の表面に傷をつけて、そこから染み出してくる樹液(乳液)をお椀でうけるわけですから、
ゴムを搾り取るといっても、なにか圧力をかけて、ギュッと絞る訳ではないのです。
現象としては、人間でも、皮膚を切れば、血が出て、血小板というのが止血してくれて
カサブタができますね。ゴムってのは、このカサブタと似てる。
あるいは、ゴム(ラテックス)が染み出てくるのは、木の防御反応らしいですから、
機能としては、カメムシが敵に攻撃された時に出す、臭い分泌液に近いかもしれない。
(カメムシって、いじらなければ、普段は臭くないって知ってました?)
#ゴムは、そんなに臭くないけど、とりあえず、とっても苦いはずです。
木肌に傷をつけてゴムを採取すると、木材がスカスカになる(密度が減少する)というよりは、
木の(肥大)成長速度が遅くなる(幹がなかなか太らない)そうです。
つまり、既に材になった成分が溶けて出てくるわけじゃなくて、
これから成長にまわるべき栄養分がでてきちゃうってことで、
既にできている材がスカスカになるわけじゃない。
だから、「天然ゴムを搾りつくした後のスカスカの材」という表現は、間違いです。
#肥大成長が遅い木ってのは、どっちかといえば、材は締まって堅くなる場合が多い。
#ゴムノキの場合、それに該当するかどうかは知らないけど。
しかし、植栽後5年目からだいたい2~30年の間は、ゴムを採取して、
樹齢20~30年で伐採し、製材し、あらたな苗を植えて育てる・・・
という25年ぐらいのサイクルって、人間の一世代にちょうど対応しそうで、
子々孫々同じよう受け継がれそうで、なんかいい感じですね。
(どこかに落とし穴は、あるのだろうか?→
拡大造林とプランテーション)、
(2012年2月13日追記)
この記事が、なぜかこのブログ一番人気のようです。
ラバーウッドについての情報って、案外、WEB上では出回ってないようですね。
参考にしていただければ、書いたかいがあるというものです。
それなりに調べた情報を、嘘のないように示してはありますが、
この道の専門家ではないので、間違ってる部分もあるかもしれません。
誤りや不正確なところなどありましたら、是非、ご指摘ください。
また、実際に、ラバーウッドの製品を使って実感したものでもないので、
実際いお使いの方の使用感なんてのも聞いてみたいところです。
どうでしょう? 堅くていい材でしょうか? 重いくないですか?
それとも、やっぱり、風評どおり、柔らかくてスカスカなのかな?
一番人気の記事なんだから・・・・せめて1つくらい・・・
コメントついてもいいんじゃないかなぁ・・・・と思う今日この頃
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